2004-02-01から1ヶ月間の記事一覧

◆孤独な散歩者の夢想◆

◆孤独な散歩者の夢想◆ 「夕方が近づくと、私は、島の高みから下り、湖の縁へ行って、水際の人目につかぬところに、腰を下ろすのを好んだ。そこにいると、波の音と水の動揺が、私の感覚を集中させ、私の心から他の動揺を悉く除き去るので、この心は快い夢想に…

◆ギリシア--プラトン(その2)◆

◆ギリシア--プラトン(その2)◆ 数の研究では、プラトンは、古代のすべての哲学者同様、ロジスティックより算術に関心がありました。「国家(Republic)」の中で、学問は、軍事的にも哲学的にも役立つと語っています。算術には、抽象的な数について論理的に考…

◆ヘブライ(ユダヤ)音楽◆

◆ヘブライ(ユダヤ)音楽◆ 神殿の音楽については、実際の音楽について考えることができるとしても、世俗の音楽に関しては、状況は非常に困難になります。語るべきものがほとんどないことを知っています。確かに、彼らには、収穫の歌、ブドウ醸造の歌、その他…

一年で最も気候がよいとされている五月も、もう終わりです。周りの水田も水を湛え、時折爽やかな風が水面を渡って来ます。 季節はずれの感がありますが、西日本には台風4号が近づいています。こんなに早い台風接近のニュースというのは、私は初めてのような…

◆変な日本語?◆

◆変な日本語?◆ My mother made me a bag. 私の母は、私に鞄を作りました。 He wants to do something, too. 彼も何かしたいです。 テーマは、「英語学習で使う変な日本語」です。上の訳文を読んで、何も感じませんか。感じた人は、正常だと思うのですが、一…

◆ギリシア--プラトン◆

◆ギリシア--プラトン◆ プラトンの時代ほど、人々が精神(魂)の人を渇望した時代はなかったと言われています。プラトンがまだ若い頃、アテネはスパルタの力の前に屈し、アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスが偉大な悲劇を生み、イクティノス、フェイデ…

◆旧約聖書の音楽◆

◆旧約聖書の音楽◆ アレクサンドロス大王の東方遠征途中の死後、セレウコスとプトレマイオスの即位は、近東諸国のヘレニズム化を確実なものとしました。これ以後、ローマ共和制及びローマ帝政期を通して、メソポタミア、エジプト、ペルシアなど様々な異なる表…

イラク戦争も終結宣言はまだ出ていないようですが、もう終わりですね。心配したほどの長期化は避けられてよかったと思いながら、イラク側の犠牲者は結構な数にのぼっているようです。残念な事ですが、文化財の略奪もあったようですね。(戦争とはこんなもの…

◆間違えるもの◆

◆間違えるもの◆ 「人間の脳(頭)は、普通に考えると間違えるようにできている。だから、如何に間違えずに正しく考えることができるか考えることが重要になる。」 別に、誰か有名な人の言葉ではありません。私が、常に考えていることで、「人間の脳(頭)は…

◆ギリシア--その他の人々◆

◆ギリシア--その他の人々◆ ソクラテスの次はプラトンといきたいところですが、その前に、この時代、数学に関係する何人かの人に触れておきます。 アルキメデスは、彼の著作の中で、デモクリトスは、同じ底面で同じ高さの円柱の体積と円錐の体積との関係、同…

◆ギリシア--記譜法◆

◆ギリシア--記譜法◆ アリストクセノスは、「古典」ギリシアの最後の理論家でありました。彼以後、音楽について著述しているギリシア人は、紀元1−2世紀まで現れません。しかも、その頃になりますと、ハルモニストというのは数学者であって実際の音楽には関…

イラク戦争について、新聞などでは、英米の誤算というかたちでいろいろと報道されています。気象条件として砂嵐、英米軍はイラク南部においてもそれほど歓迎されていない、など。ロシア祖国戦争のことをふと思い出したので「随想」のところで書いてみました。…

◆ロシア祖国戦争◆

◆ロシア祖国戦争◆ 花見の季節になってきましたが、一方で英米のイラク攻撃(イラク戦争)は、長期化の様相を呈してきました。アメリカは12万人の地上軍を新たにイラク領内に増派することを決めたようですね。 今回の戦争とは直接の関係はありませんが、ロ…

◆ギリシア--ソクラテス◆

◆ギリシア--ソクラテス◆ さて、数学史でソクラテスを取り上げるというのは、不思議な感じがしないでもないのですが、D.E.Smith の「History of Mathematics」ではそれが取り上げられています。この数学史に私が惹かれる所以でもありますが。 ソクラテスの前…

◆ギリシア--アリストクセノス(その2)◆

◆ギリシア--アリストクセノス(その2)◆ アリストクセノスの音楽理論は、数学的な比率というより、人間の耳による判断を重視して組み立てられているというお話は、前回しました。 実は、彼の理論は、ゲルマン人の侵入(AD400年代)の後、西ヨーロッパでは忘れ…

2月も終わりです。3月に入ると春が近づいて来ているという感じになるのでしょうが、世界情勢はアメリカのイラク攻撃があるかどうかの問題に関心が高まっているようですね。 国連イラク査察問題と関連して、新国連安全保障理事会決議案が注目されています。…

◆ピアノとメロン◆

◆ピアノとメロン◆ 「MUSICA MUNDANA No.22」で、ピアノの起源について少し書いたのですが、「ピアノ」という言葉の語源は、バルトロメオ・クリストーフォリ(Bartolomeo Cristofori)がいうところの、「ピアノもフォルテも出せる新しく発明されたハープシコー…

◆ギリシア--ピュタゴラス(その3)◆

◆ギリシア--ピュタゴラス(その3)◆ 音楽に関しては、音楽史ですでに触れましたので、ここでは触れないことにしますが、もう少しピュタゴラスについてお話することにします。 彼の結成した教団は、その影響が大きくなりすぎたために解散させられてしまうの…

◆ギリシア--アリストクセノス◆

◆ギリシア--アリストクセノス◆ 前回、アリストテレスの話をしまして、ピュタゴラスの数学的宇宙論的音楽論に対して、人間主義的な音楽論について触れました。そのアリストテレスの立場を一層進め、後世に多くの影響を及ぼしたのが、アリストクセノスです。 …

今日(29日)は、朝から雪でした。10センチは積もったでしょう。一面銀世界でした。 20年以上昔、雪が降ると弁当と暖かい飲み物を入れたナップサックを背負って雲母坂から比叡山に登ったことを思い出しました。 それはともかく、こちらはめったに雪が降ら…

◆ピュタゴラス◆

◆ピュタゴラス◆ 「おまえを見ていると、おれの信仰までぐらつきだし、 人間のからだのなかに動物の魂が宿るという ピタゴラスの説を、つい信仰したくもなってくる。 (小田島雄志訳) (Thou almost mak'st me waver in my faith. To hold opinion with Pyth…

◆ギリシア--ピュタゴラス◆

◆ギリシア--ピュタゴラス◆ ピュタゴラスについての様々な著述家の相反する主張にもかかわらず、ピュタゴラスの哲学は、東方との接触があったことを示しています。東方の神秘が、ピュタゴラスの教えすべての中に現れているのです。彼の数の神秘主義は、それ以…

◆ギリシア--アリストテレス◆

◆ギリシア--アリストテレス◆ プラトンの後ですから、当然、アリストテレスと言うことになりますが、アリストテレスの音楽論は、一般的にプラトンほど知られてはいないような気がします。 ピュタゴラス(派)の音楽観には、根本に「数の秩序と調和」という認…

2002年もいよいよ終わりですね。 一年を振り返って、いろいろな感慨に浸る人もいるかも知れませんが、どうも、私にとっては、あまり変化のなかった年のような気もします。 来年こそは、よい年になりますように。よいお年を。

◆タレス◆

◆タレス◆ 前回でタレスは終わりましたが、少し補足しておきます。 ミレトスのタレスは、すでに古代において賢者と自然探究者の理想とされ、イオニア学派の創始者と見なされていましたが、彼の思想は、アリストテレスにとっても、もはや確実に再構成できない…

◆ギリシア--ピュタゴラス◆

◆ギリシア--ピュタゴラス◆ さて、古代数学史の中で、極めて興味のある人物はピュタゴラスでしょう。しかし、ピュタゴラスについては、様々な伝承が伝えられているわりには、その実像はほとんど知られていません。歴史上のピュタゴラスについては、宗教団の創…

◆ギリシア--プラトン◆

◆ギリシア--プラトン◆ 前回の話からも分かるとおり、プラトンの時代は、古典様式の音楽が衰退をしていた時代でありました。プラトンは、その古典時代を理想として音楽を語っています。 ギリシアの教育学派には二つの大きな流れがあり、ともに人間に自由な教…