2006-01-01から1年間の記事一覧

2006年もあと残すところ2日となりました。皆さん、如何お過ごしでしょう? お変わりございませんか? 個人的には、昨年は、いろいろなことがありましたが、来年は、これまでといくらか違う生き方ができればなあと思っている私であったりします。さてさて、…

◆零の歴史(その4)◆

◆零の歴史(その4)◆ プトレマイオスは、紀元 130年頃書かれた「アルマゲスト」の中で、空の場所を示す0とともにバビロニアの60進法を使っています。この時までには、プトレマイオスは、数字の間にも終わりにもその記号を使っていて、少なくとも空の場所…

◆ハルン・アル・ラシド - アル・マムン◆

◆ハルン・アル・ラシド - アル・マムン◆ ハルン・アル・ラシド ハルン・アル・ラシドは、「アラビアン・ナイト物語」で私たちはよく知っていますが、彼は学問の偉大な擁護者でありました。彼の影響のもと、ユークリッドの著作の一部を含む学問に関するいくつ…

◆クラウスラからモテトゥスへ - モンペリエ写本◆

◆クラウスラからモテトゥスへ - モンペリエ写本◆ ペロティヌスのものとされるクラウスラは、「Judea et Jerusalem」の中の「et Jerusalem」の部分のようなオルガヌムのパッセージに起源があります。そこでは、単旋律聖歌は、限りなく引き延ばされるのではな…

早いもので、明日から12月ですね。まだ、こちらでは、寒さはそれほどでもありませんが、すでに寒くなっているところもあるのでしょうか。 今日、田んぼでレンゲが花を咲かせているのに気がつきました。このところの暖かさで、少々時期を間違えたのでしょう…

◆零の歴史(その3)◆

◆零の歴史(その3)◆ http://www-history.mcs.st-andrews.ac.uk/history/HistTopics/Zero.html このことから、私たちは、空の場所を示す零の初期の用法は、本当は数としての零の用法ではまったくなく、単なる数字を正しく解釈するためのあるタイプの句読点…

◆バグダード◆

◆バグダード◆ イスラムの隆盛の下、数学が最も奨励されたのは、チグリス川のほとりにあるバグダードでした。古代都市の廃墟の上に、アッバース朝のカリフ、アッバスの子孫の一人、アル・マンスール(al-Mansur)(712-744/5)によって建てられたバグダードは、イ…

◆ペロティヌスのオルガヌム◆

◆ペロティヌスのオルガヌム◆ オルガヌム大曲集のドゥプルムが最も初期の2声のハーモニーを見せてくれるのと同様、トリプルムとクァドルプルムもまた、最も初期の段階の三声及び四声のハーモニーを私たちに見せてくれます。 ペロティヌスの大クァドルプルム…

中世からルネサンスへ(その7)

教会とオルガン オルガンと教会との関係がいつどのようにして始まったかは、未だに大きな謎です。 8世紀までは、オルガンは楽器というより音を出す珍しい道具として扱われていた可能性が大きい。 757年、フランク王ピピンに贈られたオルガンと、812年コンス…

中世からルネサンスへ(その6)

オールド・ホール手写本 14世紀から15世紀初め頃のイングランド教会音楽の重要資料。永らくオールド・ホールの聖エドムンド大学の蔵書に含まれていたので、その名があります。1973年以降は、大英図書館にあります。 恐らく、15世紀初めの20年間に集…

中世からルネサンスへ(その5)

中世イングランドの教会音楽 中世イングランドの教会音楽に関しては、ウースター大聖堂の書庫に保管されているポリフォニーの曲集が重要な資料です。13世紀初め頃から14世紀前半にかけての作品が100曲以上含まれています。作曲者は不詳で、大部分が3…

10月もあと1日になりました。皆さんいかがお過ごしですか。 朝晩は随分と寒くなったように思いますが、日中は20度を超える日々がまだ続いています。平年よりは少し暖かいというか暑い感じでしょうか。 ところで、つい最近 Mixiの招待状を頂きまして、や…

◆零の歴史(その2)◆

◆零の歴史(その2)◆ http://www-history.mcs.st-andrews.ac.uk/history/HistTopics/Zero.html 人は、位取り記数法がかつて存在するようになったとき、空(数のない)の場所を示す記号として0はなくてはならない必要な考えであったと思うかもしれません。し…

◆メソポタミアのキリスト教学者 - セボフト◆

◆メソポタミアのキリスト教学者 - セボフト◆ イスラムの勢力の勃興の時代、やがてはアラビア人によって支配される地域には、キリスト教の学問の中心がありました。こうしたものは、近東全体に散在していた修道院に見いだせるでしょう。こうした隠遁所で教え…

◆オルガヌム大曲集◆

◆オルガヌム大曲集◆ ところで、私たちは、「オルガヌム大曲集(the Magnus liber organi)」そのものを4部持っています。残念なことですが、オリジナルと言えるものは、一つもありませんが。 Wolfenbuettel,Herzogl.Bibl.677, 一般に W1として知られる。 Flor…

中世からルネサンスへ(その4)

フランドル楽派の出現 世紀の変わり目頃には、教会のポリフォニー音楽が北イタリア一帯で盛んになり、それに伴って、イタリアの作曲家より外国人音楽家、多くはフランドル地方とその周辺からやってきた人たちですが、目立つようになります。アルス・ノヴァな…

中世からルネサンスへ(その3)

14世紀フランスのその他のミサ作品 14世紀フランスのポリフォニー音楽には、組曲風ミサ以外にミサのために書かれた単独作品もかなり見つかっています。ノートルダム楽派とは対照的に、固有文は姿を消し、通常文ばかり目立つようになっていますが。 ポリ…

中世からルネサンスへ(その2)

アルス・ノヴァの記譜法 大きな音符を小さな音符に分割する場合、3つに分ける(完全分割)か2つに分けるか(不完全分割)の2通りがあります。ロンガとブレヴィス、ブレヴィスとセミブレヴィス、セミブレヴィスとミニマのそれぞれに応用します。曲を書くと…

中世からルネサンスへ(その1)

アルス・アンティカ 13世紀半ば、楽譜の世界に画期的な発想が生まれます。音の長短を異なる形の音符で示そうとする思いつきです。これによってヨーロッパの音楽は、特にポリフォニーが急速に発展することになります。 そのことを最初に明確な説明をしたの…

中世盛期のポリフォニーと宗教歌曲(その4)

聖母マリアのカンティガ集 カンティガは、一般にはラウダのスペイン版で、ほぼ同じ頃流行した宗教歌曲と考えられていますが、現存するのは、カスティーリャとレオンの国王アルフォンソ10世が 1250年から30年かけて編纂させたという「聖母マリアのカンテ…

中世盛期のポリフォニーと宗教歌曲(その3)

十字軍時代の中世歌曲 オルガヌムやコンドゥクトゥスが、アキテーヌやパリを中心に教会でポリフォニー音楽の1つの頂点を極めていた12・13世紀、教会の外では、十字軍の活動が活発でした。それを支えていたのは、各地の王侯貴族とそこに結集した騎士たち…

中世盛期のポリフォニーと宗教歌曲(その2)

アルベルトゥス師作のコンドゥクトゥス 「カリクスティヌス写本」の中に「パリのアルベルトゥス師の作」と記された「ともに喜べ、カトリック信者たちよ(Congaudent catholici)」という曲があります。 この曲には3つの旋律が記されているのですが、3つ全部…

中世盛期のポリフォニーと宗教歌曲(その1)

ウィンチェスターのトロープス集 楽譜として残されたオルガヌムの最初のコレクションは、南イングランドのウィンチェスター大聖堂で用いられていた2冊のトロープス集に含まれています。すべて2声部で、音の高さを明示しないネウマ譜で書かれています。これ…

グレゴリオ聖歌の変容(その4)

最古のポリフォニーの資料 聖歌の旋律に対旋律を付けて同時に複数の旋律を歌おうというオルガヌムが、いつどのようにして起きたかは、いまだに謎です。 そのような演奏が行われていたと9世紀後期(一説では10世紀初期)の音楽の教科書である「ムシカ・エ…

グレゴリオ聖歌の変容(その3)

ダニエル物語とコンドゥクトゥス 典礼劇の中で最もよく知られているのは「ダニエル物語」でしょう。12世紀半ば北フランスの古都ボーヴェーの「若者(神学生)たち」によって演じられたことが知られており、この作品唯一の原典は、大英図書館に保管されてい…

9月もはや終わりです。何か時間の経つのがはやい気がして仕方がないのですが、皆さんはどうお感じですか。 最近、数学史の掲示板に少し書き込みがあって、零や黄金比などについて調べてみる機会がありました。 なかなか面白い分野だと思いますので、興味の…

◆零の歴史◆

最近、数学史の掲示板に「零について」教えてくれませんかというような投稿がありましたので、今回から、「A history of Zero」でも訳してみようかなと思いました。結構量がありますので、1回や2回では訳しきれないと思いますが、まあよろしくお願いします…

◆バクシャリ写本・ペルシア◆

バクシャリ写本 この時期に何らかの優れた内容を持つ別の著作として、バクシャーリー写本があります。この著作は、起源と年代とは不確かであるのですが、算術と代数との両方に関する資料を含んでいます。以前、それは私たちの時代の初期の頃のものとされまし…

◆ノートル・ダムのオルガヌム◆

◆ノートル・ダムのオルガヌム◆ リガトゥーラが、今や、メリスマ音楽や器楽音楽で主として用いられるようになっていました。リガトゥーラは、この時期、--「ノートル・ダム・ポリフォニー」--というフランスの聖堂音楽の傑出した巨匠、レオニヌスとペロティヌ…

グレゴリオ聖歌の変容(その2)

続唱の歴史 続唱の作者として有名なのは、ザンクト・ガレンの修道士ノトケルで、880年に発表したとされる「リベル・イムノルム(賛歌の書)」には、33のプローズが集められています。以後12世紀にかけて一世を風靡し盛んに創作されました。 しかし、16…