◆ギリシア--ハープ・リラ◆


ギリシア--ハープ・リラ◆ 
 
 ホメロスの時代のリラであるフォルミンクスという言葉は、ヘシオドス、ピンダロスによっても用いられますが、その後すぐに姿を消してしまいます。しかし、その楽器がなくなったわけではありません。
 
 フォルミンクスは、大きくなり古典式のリラに進化を遂げます。エウリピデスの文学作品の中に現れるのがこの楽器で、ほぼ三角形の共鳴室があり、頑丈なアームが細い横木の上に少し突き出ていました。指かあるいはプレクトラムで演奏され、基本的に男性の楽器でした。
 
 それより小型の楽器が、ずっと以前から存在しています。バルビトンと共鳴室が亀の甲、あるいは亀の甲に見えるよう彫刻された木でできていたため、ケリュスと呼ばれることもあったリラです。
 
 バルビトンのアームは、長くて先の方に広がって真っ直ぐのび、先端のところでは非常に短い横木に結びつけられるように急に内側に曲がっていました。共鳴室はとても小さく、左手の指と右手に持ったプレクトラムで演奏されました。サッフォー、アルカイオス、アナクレオンの楽器がこれです。
 
 ハープは、様々な形で様々な名前で知られていますが、例えば、リディアのマガディスや恐らくペクティス、ギリシア人にはそれほど好まれなかったようです。普通女性によって演奏されました。バルビトンも女性に好まれた楽器ですが、女性だけが演奏したわけでは決してありません。大きなキタラは、主に男性が演奏しましたが、BC5世紀以降は、古典式のリラに広く取って代わられます。