◆ギリシア--ピュタゴラス◆


ギリシア--ピュタゴラス◆ 
 
 伝承によりますと、紀元前6世紀頃、音楽に関する思想に画期的な革新がサモスのピュタゴラスの教えによってもたらされます。
 
 彼はエジプトの神官や恐らくメソポタミアの学問学派から音楽の原理をもたらし、共同体を形成し、道徳的向上を図る目的で作られた訓練の一部として、これらを教えたものと信じられています。
 
 また、ピュタゴラス派の人々は、音階は宇宙の構造の要素であるとも考えていました。天空は一種の調和(ハーモニー)として描かれ、音の空間は一本の弦(モノコード)の助けを借りてこの調和が反映されるよう分割されたのです。
 
 ただ、ピュタゴラス自身は何の文献も残していませんし、そのことを私たちが最初に耳にするのは、BC4世紀の著述家からですので、最大限の注意を払う必要はあるでしょう。数学的比率と音程の関係を証明するのに初めてモノコード(一弦琴)を用いたのは、カタトメ・カノノスという書物の中で、ユークリッド(エウクレイデス)(BC300年頃)によって述べられているものです。
 
 後の時代には、かなり多くの音楽理論が残されているのですが、多くは曖昧で、著者自身が十分理解できていなかったのではないかと疑わせるような間違いや、多くの矛盾した専門用語の使用が見られ、かなり混乱しています。
 
 ギリシア音楽理論の研究を、すべての研究の中でも最も手強く満足のいかないものの一つにしているのは、こうしたことに原因の一つがあるということです。
 
 次回には、そのギリシアの初期音楽理論の基礎に少しふれてみます。