◆ギリシア--算術の始まり◆


ギリシア--算術の始まり◆
 
 さて、今回から時代を下って、BC1000年から BC300年頃までの時代を考えて見ることにします。
 
 この時代は、ギリシアギリシア植民地がその中心となり、ローマを含めた地中海世界のほとんどは、ヘレニズム(ギリシア)文明の影響下におかれてしまうということができます。
 
 それ以外の地、フェニキアは商業に関するもの以外にはほとんど貢献しませんでしたし、エジプトでは黄金期はすでに過ぎ去っていました。メソポタミアの数学には、それなりの価値はまだ残っていたでしょうが、天文学に関するものを除けば、それほど注目をひくものは知られていません。
 
 それでは、ギリシアの算術の始まりはどうであったのでしょう。商業算術は、ギリシアで知られるようになるずっと以前から様々な近隣諸国で知られていました。フェニキアの海岸沿いに、また、そこを横断して東洋との交易ルートが通じ、商人たちはバビロニアで刺激を受け、かなり優れた商業算術を発展させていました。
 
 しかし、初期のギリシア人たちは、トゥキュディデスが語っているように「絶えず民族の侵入が繰り返される」地で、野蛮な好戦的な民族であり、商業を行う傾向はほとんどなかったようです。当然、数学もそんなに発達しているわけはありません。
 
 ギリシア人が算術に興味を示すようになったのは、他の民族と親密な関係を持ち始めた時からでした。一般に言われていることとは反対に、ギリシア人の数学は常に広く外部からの影響によっていたのです。数学が発達したのは、大陸内部ではなく交易の盛んな沿岸部であったことからも推測できるのではないでしょうか。