◆ユークリッド(エウクレイデス)◆
◆ユークリッド(エウクレイデス)◆
ユークリッド(エウクレイデス)といえば「幾何学原論」を思い出しますが、今回の音楽史に出てきましたように、モノコード(一弦琴)を使って弦の長さと音程の関係を理論的に証明しているのも、ユークリッドの書でありました。
というわけで、今回は、ユークリッドの著作について少し書いてみます。
先ずは、「幾何学原論」です。英語では「the Elements」ですが、元のギリシア語の題名は、Στοιχεια(ストイケイア)です。
「幾何学原論」以外に現存しているユークリッドの著作には、Data, On Divisions of Figures, Phaenomena(Φαινομενα=パイノメナ)と Optics(Οπτικα=オプティカ)があります。一部だけアラビア語でしか伝わっていない Divisions 以外はすべてオリジナルのギリシア語で伝わっています。
Dataは「原論」の最初の四書と緊密な関係にあり、本質的には、それを補足する性格のものです。On Divisions of Figuresは、アラビア語の翻訳でしか残っていませんが、図形を二つ以上の同じ部分あるいは一定の比率に分割することに関するものです。
Phaenomenaは惑星の運行を説明するための天球(球面)幾何学の研究についての論文です。Opticsは、遠近法に関する現存する最も古いギリシアの論文です。
音楽に関する論文がこの中に含まれていないことを不思議に思われた方はいらっしゃいますか。プロクロスが「音楽原論」とでも言うべき書物をユークリッドが書いたとしていて、現存する二つの書、Introduction to Harmony(Εισαγωγη Αρμονικη=エイサゴゲ・ハルモニケ)と Sectio Canonis(Κατατομη Κανονοs=カタトメ・カノノス)がそれだとずっと言われてきたのですが、現在は、前者はアリストクセノスの音楽理論に基づいており、彼の弟子のクレオニデス(Cleonides)の著作だと考えられています。
後者(カタトメ・カノノス)は、音程に関するピュタゴラスの理論に基づいており、ユークリッドのオリジナルから誰かが抜粋したものではないかと考える人もいるようです。ただ、明確なことは今のところ不明です。