◆ギリシア--ギリシア初期音楽理論◆


ギリシア--ギリシア初期音楽理論◆ 
 
 ギリシア音楽の基礎といえば、当然のことですがテトラコードです。初期のフォルミンクスは、まさに4弦(テトラコルドン)でありました。最も古いフォルミンクスの音域が完全4度であったのか、間の弦はどのように調弦されていたのか全くわからないのですが、少なくともBC7世紀初めまでには、テトラコードは確実に完全4度と定義されていたようです。
 
 4つの音は必然的に3つの音程を定めます。弦は、二つの全音ピタゴラスの音は8:9の比率)とレイムマ(4度から2つの全音を引いた後の残りの「半音」)という音程を決めるよう調弦されました。これは、全音階(ダイアトニック)のゲノスと呼ばれ、最も一般的なもので3つの音程は、上から全音全音、レイムマということになります。レイムマは、実際は、西洋の音階の半音より小さな音程になるそうです。
 
 テトラコードは、レイムマの位置によって更に3つに分類されました。全音階のゲノスでは、全音-全音-レイムマ(ドリア旋法)、全音-レイムマ-全音フリギア旋法)、レイムマ-全音-全音(リディア旋法)という主旋法が形成されます。それぞれの主旋法には、副旋法がありました。
 
 同じ2つのテトラコード全音で結びつけると、完全なオクターヴ音階ができあがることにお気づきでしょうか。現代の鍵盤音楽の白鍵上のオクターヴ音階は、こうしたテトラコード(分離型全音階のテトラコード)によって、まさしく成り立っているのです。ただ、ギリシアのそれは、平均律ではありませんし、ギリシア人にとっては、それは音階ではなくメロス(旋律)が動くように定められた点であったのですが。