◆ギリシアの算術◆


ギリシアの算術◆
 
 これまで何度となく書いてきたのですが、ギリシアでアリトメーティケー(αριθμητικη=arithmetic=算術)といえば、数の理論のことを言います。今回、数学史の中でも書きましたように、ギリシアでは計算法は「ロギスティケー(λογιστικη=logistic=ロジスティック)」と呼ばれていました。
 
 「ロギスティケー」は、ミレトスやコリントの交易商人の間では重要視されたようで、その学校があったことがヘロドトスなどによって語られています。「ロギスティケー」は、商業交易のための技術、少し前の計算尺やそろばん、タイプライター、現代で言えばパソコンの操作技術のような技術と同じようなものと見なされていたようです。
 
 少し後の時代になりますと、これは非常に好まれるようになったようで、プラトンは、「どの子供もアルファベットを学ぶのと同じくらい、すべての自由市民がこの分野の知識を学ぶべきであると、私は考えている。」と語っています。
 
 基本的には「読み書きそろばん」の「そろばん」のすすめという感じの言葉ですね。アカデメイアの入り口には「幾何学を知らざる者入るべからず」と書かれていたということを思い出しても、プラトンが数学をいかに重要視していたかが見て取れます。