◆ギリシア--ギリシア初期音楽理論(その2)◆


ギリシア--ギリシア初期音楽理論(その2)◆ 
 
 前回、ギリシアの分離型テトラコードの話をしましたが、結合型(接続型)テトラコードというのもありました。
 
 アリストテレスが、「ドリア起源の人々は、アイオリス人とは違って、分離した音によって二つのテトラコードに分けた」と言っていることから、分離型テトラコードはドリア起源ということができるでしょう。後には分離型テトラコードが主流になるのですが、この頃までは、結合型のテトラコードの方が主だったと言うことになりましょうか。
 
 結合型というのは、上の方のテトラコードの第4音(一番低い音)が、下のテトラコードの第1音(一番高い音)になるところが分離型とは異なります。現代のピアノの鍵盤で言いますと、d'',c'',b''フラット,a'',g',f',e' です。(分離型では、d'',c'',b''フラット,a'',g',f',e'フラット,d')上のテトラコードの第4音(a'')は、メーセ(真ん中の音)と呼ばれ、最も重要でギリシアの音階体系の中心でありました。
 
 全音階のゲノスの他に、ギリシアには、半音(クロマティック)のゲノスと半音以下の音程(エンハーモニック)のゲノスとがありました。半音のゲノスでは、音程は「短3度、半音、半音」であり、半音以下の音程のゲノスでは、「2全音、1/4音、1/4音」、あるいは、恐らくもともとは「2全音とレイムマ」の二つの音だけではなかったかと言うことです。
 
 この2全音は、ギリシアの旋律を後のヨーロッパの旋律とを区別する主要な特徴の一つで、西洋(平均律)の長3度より少し大きく、私たちにはより鋭く聞こえるそうです。