◆ギリシア--ギリシア数学◆


ギリシア--ギリシア数学◆
 
 前回も述べましたように、ギリシアの計算術であるロジスティックについては、正確な内容はほとんど知られていませんが、数の理論であるギリシアの算術はそうではありません。哲学者たちのテーマとして、哲学者たちのよって書かれた著作を通して、後のギリシア人によって残され、現代まで伝えられてきました。その詳細は、初期の時代に伝えられたオリジナルのまま、恐らくほとんど変えられていないでしょう。
 
 ロジスティックも算術も、西洋だけでなく東洋でも発達しましたが、論理科学としての幾何学は、純粋に西洋文明の産物でした。直感的な幾何学は、普遍的なものであり、発達段階や過程は異なっていましたが、世界の様々な地域で見られます。
 
 例えば、三平方の定理ピュタゴラスの定理)は、ピュタゴラスよりずっと以前からエジプトでは知られていたでしょうし、中国でもインドでも知っていただろうと信ずるに足る理由があります。しかし、その定理を最初に証明した、また幾何学的証明という考えを最初に持ったのは、ギリシア人であると明らかにいうことができます。
 
 実際に、命題の論理的連続と考える私たちの幾何学はすべて、二次元平面であれ、三次元空間であれ、円と直線に限定されたものであれ、円錐曲線や高度な平面曲線を含むものであれ、その起源は唯一ギリシア文明の中にあると考えてよいでしょう。
 
 ギリシアの数学は、あまりに完全なまで幾何学に専念したので、算術もずっと後には代数として知られる学問も、ほとんど全く幾何学的観点から扱われました。それで、私たちは、ギリシア数学は、幾何学、算術、ロジスティック、音楽、そして一種の代数を含んでいるとはいえ、その中心的要素は幾何学であったと言うことができるでしょう。