◆ローマ時代(その2)◆


 ◆ローマ時代(その2)◆

 数学の応用に関するローマの著述家の中で、ウィトルウィウスの次に優れているのは、セクストゥス・ユリウス・フロンティヌス(Sextus Julius Frontinus(40-106年頃))です。将軍であり、水の供給(水道)の管理者で、戦争に関する著作と水道に関する著作の著者でした。

 測量の仕事に数学を使用した人々の中で、グロマティクス(Gromaticus=測量師)として知られるヒュギヌス(Hyginus)は、最も優れた人の一人です。グロマティクスというのは、長さを測ったり、土地を区画するのに用いた道具グロマ(groma)を使う人々のことでした。ヒュギヌスは、それについて書いた人としてよく知られています。現存する彼の著作の断片は、その学問に対する数学の貢献を何も示してはいませんが。

 私たちが今話題にしている時代の初め頃、他のどの著述家よりも数学の応用分野を代表しているのは、アレクサンドリアのヘロンです。彼は、エジプト人であったように思えます。彼のスタイルは、ギリシア人の様式ではありません。彼は、一般にヘロンの泉(Heron's Fountain)として知られる空気圧を利用した装置や蒸気エンジンの簡単な形、その他様々な機械を発明し、数多くの活動で多くの才能を発揮しました。

 彼は、気力学(pneumatics)、屈折光学(dioptrics)や機械学について著作していますが、数学の観点から見ますと、測量術(法)に関する著作が一番おもしろいものです。恐らくエジプト人によって用いられていた方法を要約しているのでしょう。彼の三角形の面積を求める公式、ヘロンの公式はよく知られていますね。また、彼は、私たちが axx+bx=cという形で書く方程式を解くことができました。今日私たちが知っているように、一般二次方程式は、ギリシア人の数学者によって、十分マスターされていたのです。