◆音価の測定◆


 ◆音価の測定◆

 ディスカントゥス(Discantus)の著者は、他の点でまた、私たちに有益な情報を与えてくれています。例えば、彼は、まだ、三度を不協和音とみなしている一方で、恐らく、彼に非常に近い同時代人であろうと思われる 「定量音楽の様々な技法について(De diversis manieribus in musica mensurabili)」の中で、「Anonymous VII」として知られる著述家や、De musica mensurabili positioのヨハネス・デ・ガルランディア(Johannes de Garlandia)は、それら(三度)を「不完全な」協和音として認めているのです。

しかし、この時期、困難な問題は、協和音の概念の解放ではなくて、音価の測定法--あるいは、むしろ、音の長さの記譜--でした。今や、musica mensurabilis (定量音楽)と musica plana(ロンガとブレヴィスで明確に測られたわけではない音楽)との間には違いがありました。最初、記譜は同じでしたが。

Anonymous VIIとディスカントゥスの著者は、古いネウマの形式の後のアキテーヌ様式化された「四角い」記譜で、ロンガとブレヴィスとを示すことができたということで、学者たちの意見は一致しています。このように計量された音楽では、ウィルガ(virga)はロンガを示し、四角いプンクトゥム(punctum)は、ブレヴィスを示しました。

 両方の著者は、リガトゥーラとモーダル・リズム(rhythmic modes)について語っているのですが、一方を他方を使って示すことを示唆していません。それは、恐らく、一世代後のヨハネス・デ・ガルランディがそうしたのでしょう。彼は、明らかに、実践的に確立されたものを編纂したにすぎないのでしょうが、そのための規則も主張しています。