◆中秋無月侍母◆
◆中秋無月侍母◆
今月25日は中秋でしたが、皆さんは、月は眺められましたか?
こちらでは、残念ながら雲が広がって月を見ることができなかったのですが、ふと、こんな漢詩を見かけましたので、取り上げてみます。
中秋無月侍母 頼山陽 中秋月無く母に侍(ジ)す
不同此夜十三回 此の夜を同じゅうせざること十三回
重得秋風奉一巵 重ねて得たり秋風一巵(イッシ)を奉ずるを
不恨尊前無月色 恨みず尊前(ソンゼン)月色(ゲッショク)無きを
免看児子鬢辺絲 看(ミ)るを免(マヌ)かる児子(ジシ)鬢辺(ビンヘン)の絲
中秋の晩、母に侍して月見をしたが、あいにく月が出なかった
母と中秋の月見をしなくなってもう13年にもなっってしまった。
今宵久々に秋風のもと再び母を迎え一杯の酒を差し上げることができた
母とのせっかくの月見だったが月が見えなかったことを恨んだりしない
お陰で、鬢のあたりの白髪を見られることもなかったのだから
久々の母との中秋の名月の月見でしたが、残念ながら月は見えませんでした。残念には違いないのですが、そのお陰で、自分の鬢(頭の左右側面の髪)のあたりにある白髪を母に見られずにすんだのが、せめてものすくいだというのですね。親に心配させまいとする真心溢れる詩です。