◆数の数え方◆


 ◆数の数え方◆
 
 数の数え方を考える前に、人間は数をどのように認識しているのか考えて見ることにしましょう。
 
 最も単純な数の認識というのは、相手が一人であるか二人以上であるかという認識だと思いますが、ものが単数であるか複数であるかの認識は、動物でもしているのではないかと思えます。複数の子供を産む動物の中には、明らかに子供の数を認識しているように思えるものがありますよね。
 
 そう考えると、数の認識は、言語より先ではないかと思われます。日本語では、基本的な文法の中に、単数複数の区別はありませんが、認識できていないわけではないでしょう。
 
 従って、数を表す言葉を特に持たない民族でも、数が数えられないわけではありません。例えば、ある未開の民族は、数を表す言葉は「一つ」「二つ」しかないそうですが、数を二つしか認識できないのではなく、ものを指さしながら、「そしてこれ」「そしてこれ」という言葉を繰り返すことで、10まで数えることができたということです。
 
 言語の数詞から数の数え方を考えてみるのは面白いことですね。クィーンズランドのある原住民は、「1,2,2と1,2が二つ、たくさん」と数えるそうですし、アフリカのピグミーは、「1,2,2と1,2と2,2と2と1,2と2と2」と数えるそうです。これらの言語では、2が底として用いられていることはおわかりでしょうか。英語でも、bracesや couples、pairsなどで数えるのは、そうした数え方ですね。