◆音楽と数学◆


 ◆音楽と数学◆
 
 音楽と数学、この奇妙な取り合わせに奇異な感じを抱く人も多いかも知れません。音楽とは、感性そのものであり、数学とは論理そのもののように見えるからですが、まさにその故に、私は注目をしているのです。
 
 人間の精神活動の中で、世界の共通語とよく言われるものが、音楽と数学であるということに気づいた方はおられますでしょうか。音楽は、感性そのものであるから、数学は論理そのものであるから、世界中の人々が同様に理解し合えるものであるという考えです。(勿論、音楽も数学もユニバーサルなものでないと言う人もいます。いずれも、音楽と数学という言語を学ばないと理解できないからというのが理由ですが。)
 
 それ以外の精神活動を考えて見ましょう。例えば、文学を取り上げてみましょう。文学は言語で書かれています。従って、その言語の理解できない人にとっては、文学は当然理解はできません。
 
 でも、音楽は違います。言葉がわからなくても、音楽は理解できることがあることは言わなくてもわかるでしょう。文化の伝統の違いによる好みの問題はさておき。数学も同じです。数式で組み立てられた論理は、世界の人々の共通語でしょう。
 
 私が、音楽と数学に注目したのは、まさにこの点です。
 
 さらに、人間の精神活動を大きく、感性と悟性と理性に分ける考え方があることはご存じでしょう。その感性の純粋体が音楽であり、理性の働きの純粋な形が数学であるともいえるでしょう。
 
 悟性の働きは、主に言語の働きとみなされますが、言語は感性と理性との間の幅広い活動が可能です。言語を使った精神活動で、感性を最も必要とするのは、詩でしょう。そして、理性を最大限に用いるのが、論理学であり哲学と言うことができるのではないでしょうか。
 
 詩は音楽とつながり、哲学は数学とつながります。
 
 私が、音楽と数学を取り上げる第二の理由がここにあります。