◆エジプト:新王朝(その3)◆


◆エジプト:新王朝(その3)◆ 
 
 エジプトの視覚芸術は、楽器だけでなく演奏についても多くのことを教えてくれています。女性の楽人が非常に多いこと(奴隷の少女や神殿の音楽家たち)や盲人の男の歌い手やハープ奏者がいたことなど。
 
 しかし、その描写は、私たちに教えてくれるのと同じ位、多くの疑問点を投げかけます。外国の少女の奴隷は、恐らく戦いに勝利した結果でしょう。でも、盲人の音楽家たちはどうしてでしょう。
 
 また、多くの残存するパイプや指穴を詳しく測定したり、弦の数を数えたり、絵に描かれている指の位置を詳しく調べたにもかかわらず、その調音については、確かなことは分かっていません。
 
 多くの文字テキストは、一般に、絵画やレリーフが、祝宴や葬儀などで音楽がどのように用いたのか教えてくれることを裏付けてはいます。しかし、私たちにとって最も価値のあるのは、シュメールのものと同様、典礼における賛歌や哀歌のテキストのリフレインとレスポンソリウムの構造にあります。
 
 その構造は、それに合わせて歌われた音楽に反映されていたに違いありませんし、その音楽には、そうした様式が組み込まれていたに違いないからです。