◆エジプト◆


 ◆エジプト◆
 
 文明は、一般に大河に沿って発達してきました。ナイル川は、世界最大ともいえる交易の大動脈であり、その肥沃な谷は、世界最大の庭園の一つでした。エジプトは、地理的に十分に守られた国で、メソポタミアやインド、中国などの地域より外敵に妨げられず発展を遂げる機会に恵まれていました。
 
 エジプトの芸術は、BC4000年期には、シュメールのものよりはるかに発達していました。
 
 人類の歴史の中で、最も古い時代の出来事の一つに、エジプトがそれぞれ30日ある12の月に5日の祝日を加えた暦を導入したことがあげられます。この暦は、ローマ時代からグレゴリオ13世による改革(1582年)に至るまでヨーロッパで用いられていたものより優れたものだそうですが、そうした暦を作りあげたということは、天文学だけでなく計算法も高度に発展していたことを示しています。
 
 言いかえれば、注目に値する算術がすでにできあがっていた、また、神殿の天文学者たちによる、長い一連の科学的観察があったことの、物言わぬ確かな証拠ということができるでしょう。
 
 私たちの暦は、古代エジプトの暦を単に借用しただけに過ぎないと言えるかも知れません。100年ごとに閏年は、百の位以上の数字が、4で割り切れる時だけ閏年にするという偉大な改革はなされましたが。