◆ギリシア--アウロス◆


 ◆ギリシア--アウロス◆ 
 
 ギリシアで管楽器といえば、アウロスがあげられます。が、アウロスはずっと女性には嫌われていたようです。というのは、アテナイ神がアウロスを吹くと頬がふくらみ美しい顔がどんなにひどくなるかを知って腹を立て、アウロスを投げ捨てたという伝承があるからのようです。と言っても、女性が演奏しているのが時折描かれていますが。
 
 アテナイ神が投げ捨てたアウロスを拾って自分のものとし、演奏の技を究めたのがフリギアの半神マルシュアスだという伝承があることからも分かるように、アウロスはフリギアの(アジアの)楽器だと考えられていたようです。恐らく、BC700年頃にギリシア本土に伝えられたことでしょう。
 
 クロタラ(拍子木)やキュムバラ(小さなシンバル)と同様、特にディオニソスキュベレの礼拝儀式と結びついていたようです。アテネではボイオティア人が最も優れた演奏家という名声を得ています。BC700年頃から、すでに至るところで、他の宗教的儀式、祝宴や行進、踊りや劇のコーラスなど、鋭い音質のために戸外でのあらゆる音楽活動に用いられています。
 
 アウロスは、歌の伴奏にも用いられていますが、本質的には独奏楽器でした。しばしば非難された不完全な調音法は、BC5世紀にテーベのプロノモスによって改良がなされましたが、多くはずっとそのままであっただろうと考えられます。