◆中国(その3)--九章算術◆


 ◆中国(その3)--九章算術◆
 
 数学に関する中国の古典の中で最大のもので、何世紀にもわたって東洋では最も高い評価を受けてきたものと言えば「九章算術」でしょう。著者と書かれた年代については分かっていませんが、焚書(BC213年)後まもなく張蒼という数学者が古代の著作を集めて「九章算術」を編集したと考えられていますが、それを証明する確かな証拠はありません。
 
 上のことは、AD268年に出された三国魏の劉徽註解の「九章算術」の序に書かれているものですが、この「九章算術」は官吏(役人)に必要な数学を網羅したものです。
 
 全編は、方田(田地の測量)、粟米(穀物の換算)、衰分(按分比例)少広(面積計算)、商功(土木工事)、均輸(田祖の運搬)、盈不足(鶴亀算)、方程(多元方程式)、句股(ピタゴラスの定理の応用)からなっています。方程式の方程という言葉が最初に出てくる書として、中学の教科書にも出てきますのでご存じの方も多いでしょう。
 
 ところで、その盈不足から一問。
 
 「今有共買物。人出八盈三。人出七不足四。問人数物価各幾何。」
 (今、共同して物を買う。一人八銭ずつ出すと三銭余り、七銭ずつ出すと四銭不足する。人数と物の値段はいくらか。)
 
 簡単な問題ですのですぐに解けるでしょう。
 
 「答曰。七人。
 物価、五十三。」
 
 です。