◆インド◆


◆インド◆
 
 これまで、メソポタミア、エジプト、中国と四大文明のそれぞれについて、古代数学について書いてきましたが、残る一つインド(インダス)文明については、よく分かっていません。
 
 ハラッパモヘンジョ・ダロのような遺跡からみても、それなりの数学が発達して存在していただろうとの推測は成り立つのですが、メソポタミアの粘土板やエジプトのパピルスに相当するような文献は見つかっていないようです。
 
 文献学的にいいますと、インドには、焚書で古代の文献の多くが失われたと考えられる中国よりも不確実で、例えば、スワーミ・プレスの「スーリヤ・シッダーンタ」の初版には、この著作は「およそ 2.165.000年前に編集された。」と書いてあるのだそうですが、これを信じる人はまずいないのではないでしょうか。これは、一応4・5世紀頃の著作だと考えられています。インドには、信頼すべき文献は、イスラムが侵入した紀元664年以前に書かれたものは何もないということです。
 
 それ以前の歴史については、二大叙事詩マハーバーラタ」と「ラーマヤーナ」、コインやわずかな碑銘から収集できるものしかありません。
 
 インドの聖なる書「ヴェーダ」は、この時期、同時代の中国やメソポタミア、エジプトと同様に、何らかの関心が天文学に向けられていたことを示してはいますが、その内容は分からず、他の地域と同じような天文学や計算法があったのではないかと推測できるだけです。