◆ピュタゴラス音律(その2)◆


ピュタゴラス音律(その2)◆
 
 前回、分離型テトラコードオクターヴ音階の弦の比について書き、その比率で弦を張れば、簡単にオクターヴ音階が得られるとお話ししたのですが、27/8(第2弦)や 243/64(第3弦)、81/16(第6弦)、729/128(第7弦)は、実際どうやったら得られるのかという疑問を抱いた人がいたようですね。
 
 考えてみれば(それほど考えなくてもですが)、それはそうですよね。大雑把に考えれば、それほど気にすることもないのですが、でも、実は、それを簡単に得る方法があるのです。
 
 オクターブ下のの弦(第8弦)は、第1弦を二倍の長さにし、第5弦は一倍半(1.5倍)の長さ、第4弦は 4/3倍にするというのは理解できますよね。では第2弦はといいますと、第5弦を 1.5倍にして半分にすればいいのです。つまり、3/2 x 3/2 x 1/2 = 9/8となりますね。前回の比率で言いますと、9/2 x 3/2 x 1/2 = 27/8です。
 
 次は、この第2弦を 1.5倍しますと、27/8 x 3/2 = 81/16で、第6弦になるでしょう。そして、この第6弦を 1.5倍して半分にしますと、81/16 x 3/2 x 1/2 = 43/64となって、第3弦になります。さらに、第3弦を 1.5倍しますと、243/64 x 3/2 = 729/128となって第7弦になるわけです。
 
 第1弦、第5弦、第2弦、第6弦、第3弦は、1.5倍したり、1.5倍して半分にしたりと、基本的比率が2:3になっていることにお気づきでしょう。これは、ピュタゴラスのペンタトニック(5音音階)と言われているようですが、この音階が古代ギリシア音楽で用いられていた証拠があるという記述には、全く出会ったことがありません。
 
 上述のように、調弦するのに便利ではあったと思うのですが、何か後の時代の産物のような気がします。