初期キリスト教会の音楽(その1)


 イエスとその弟子の時代
 
 新約聖書に書かれている内容から推測するほかないのですが、この時代、はじめはまだキリスト者と呼ばれることもないユダヤの一宗派であったことは間違いないことでしょう。すなわち、ユダヤの礼拝に準じたものであっただろうということです。
 
 しかし、その具体的内容というものは、ほとんど分からないというのが実態です。
 
 やがて信者たちは各地に散らばり布教を始めます。シリアのアンティオキアで初めて彼らはキリスト者と呼ばれるようになります。そこはパウロが布教を開始したところでもありました。
 
 パウロはコリント人への手紙の中で、
 「すると、兄弟たちよ。どうしたらよいのか。あなたがたが一緒に集まる時、各自はさんびを歌い、教えをなし、啓示を告げ、異言を語り、それを解くのであるが、・・・」(I;14:26)
 と語り、コロサイ人への手紙では、
 「そして、知恵をつくして互いに教えまた訓戒し、詩とさんびと霊の歌とによって、感謝して心から神をほめたたえなさい。」(3:16)
 と語っています。
 
 「詩」と「さんび」と「霊の歌」については、いろいろと議論がなされているようですが、旧約聖書詩編)を唱え、イエスの言葉と行為とを伝承し、神を誉め讃えたということでは共通しているようです。
 
 こうして聖歌が誕生したのでしょう。