◆ローマ時代◆

◆ローマ時代◆

 この頃、数学の歴史に何らかの興味を示した人たちの中で、最も有名なのはゲミノスです。紀元5世紀のプロクロスは、私たちにこう語っています。「彼は、スパイラル(渦線)、コンコイド、シッソイド疾走線を扱った幾何学を書いた。その著作のうち一つだけが現存する。ファエノメナ(Fhaenomena)という天文学に関する論文である。」プロクロスは、ゲミノスの著作に基づいて、多くの歴史に関する覚え書きを残しています。

 ユリウス・カエサル(シーザー)(BC100-BC44年)の暦の改革(BC46年)にも触れておいた方がよいでしょう。これは、アレクサンドリアのソシゲネス(Sosigenes)という天文学者、その名以外にはほとんど何も知られていないのですが、彼の助けで企てられた事業です。彼はまた、広く(ローマ)帝国の測量も計画していました。

 BC40年頃、ギリシア天文学者クレオメデス(Cleomedes)は隆盛を極め、天体の周回循環の理論について論文を書いたように思えます。彼の算術と天体についての論文の写本が、まだ存在すると300年前には言われていたのですが、現在では失われています。

 数学を広く実用の目的で用いたローマ人のうち、マルクスウィトルウィウス・ポリオ(Marcus Vitru'vius Pollio)ほど、一般にはウィトルウィウスとして知られていますが、優れた人はいないでしょう。彼の建築についての著作は、BC20年とBC14年の間に書かれたと考えられています。第9書で、彼は様々な型の日時計を扱っていますし、また、著作全体を通して、若いときに技師として訓練を受けたことを示しています。また、光学の古代の学問である遠近法についてもかなりのことを知っています。

 一般にプリニウスとして知られるガイウス・プリニウス・セクンドゥス(Gaius Plinius Secundus)は、主に37巻の書である「自然史(Natural History)」と結びつけられていますが、彼は、論文の中に、ある程度数学を紛れ込ませていることを思い出さなければならないでしょう。第2巻には、簡単な天文学の解説が含まれていますし、特に、歴史的な情報があることから貴重です。ローマの数詞に関する実際の使用の知識は、彼が、しばしばこの著作の中で触れていることから豊かにされているのです。