初期キリスト教会の音楽(その4)
アルメニアとグルジアの教会
歴史上最初のキリスト教国家は、アルメニアです。
国王ディリダテス3世が、301年に改宗します。
9世紀以降、アルメニア独特の楽譜が現れますが、正確に音程を記すようなものではなく、節回しやアクセントの付け方を示したものに過ぎません。伝統的に無伴奏です。
グルジアは4世紀半ばキリスト教国になります。
カルケドン公会議では、アルメニアと共に単性論を支持します。
600年頃、東方正教会(ビザンツ教会)の影響で両性論に転向。
グルジア教会音楽は、3声のポリフォニーの伝統があり、少なくとも12世紀にまでさかのぼるということです。
東方正教会の発展
カルケドン公会議で両性論を主張した主流派は、東ローマ帝国の国教、東方正教会と西方のラテン民族中心のローマ・カトリック教会へと分裂します。
東ローマ帝国(ビザンツ帝国)が、313年キリスト教を公認してから、オスマン帝国によって滅ぼされる1543年までの東方正教会の礼拝を、ビザンツ典礼と呼び、その聖歌をビザンツ聖歌と言います。ギリシア語で歌われました。
ブルガリアは、865年にキリスト教を国教と定め、スラブ民族最初のキリスト教国となります。
セルビア正教会は、1219年にビザンツ教会から独立。
ロシア正教会は、キエフ公ヴラジーミルがキリスト教に帰依した988年に成立。
スラブの地にキリスト教を伝えたのは、キュリロスとメトディオスという2人の宣教師で、863年に宣教を始めたと言われています。