◆11世紀 - 宗教的政治的影響◆


 ◆11世紀 - 宗教的政治的影響◆
 
 さて、今回から11世紀以降のヨーロッパに入ります。

 紀元1000年紀の間、キリスト教が一般の人々にどれだけの影響を及ぼしていたのか言うことは困難です。歴史家たちは、以前考えられたほどには「千年の恐怖(terreur de l'an Mil)」に注意を向けてはいません。多くの教養ある人々が、この1000年間に、文字通り聖書の論評をなした可能性はないとしても、何人かの人々がそうしたことは確かです。とにかく、この千年が経過した後、キリスト教世界に新しい関心が芽生えたことは見て取れます。

 それに、また、十字軍(1095-1270年頃)がありました。これは「最初のルネサンス」と呼ばれていて、世界大戦が20世紀の文明に為したのと同じことを長く眠っていた文明に対してなしたことでしょう。--ある地域の民族に、他の地域で行われ考えられ希望されていたことの多くを知らしめたのです。それは戦争でありましたが、全般に知的ヨーロッパの境界を越えたものでありました。

 また、ヨーロッパには、その真ん中に外国の高度に発展した文明の強い影響がありました。-- スペインのサラセンの覇権です。そして、ラテンの学者たちにギリシアやオリエントの文明の最も優れたものを知らしめたのは、このサラセンの学者たちでした。

 更に、ヨーロッパは、その私的な戦争の愚かさを見ていましたし、「神の休戦(Truce of God)」は、その力を感じさせ始めていました。平和の祝福が、今再び、フランスやその近隣諸国に定まりつつあり、こうして知的探究を可能なものとしました。

 これらの影響に、ノルマン人の征服(Norman Conquest)を加えなければならないでしょう。そのおかげで、戦争を長引かせず、イギリスを目覚めさせ統一させた一方で、大陸がイギリスのためになる学問や芸術を指し示しました。

 こうした影響の結果として、ヨーロッパは新しい時代、大聖堂の建築、教会の改革、芸術への新たな関心、政治的実験、そして学問的偉業が大きな役割を果たす時代へと突入します。