2006-10-06から1日間の記事一覧

中世盛期のポリフォニーと宗教歌曲(その4)

聖母マリアのカンティガ集 カンティガは、一般にはラウダのスペイン版で、ほぼ同じ頃流行した宗教歌曲と考えられていますが、現存するのは、カスティーリャとレオンの国王アルフォンソ10世が 1250年から30年かけて編纂させたという「聖母マリアのカンテ…

中世盛期のポリフォニーと宗教歌曲(その3)

十字軍時代の中世歌曲 オルガヌムやコンドゥクトゥスが、アキテーヌやパリを中心に教会でポリフォニー音楽の1つの頂点を極めていた12・13世紀、教会の外では、十字軍の活動が活発でした。それを支えていたのは、各地の王侯貴族とそこに結集した騎士たち…

中世盛期のポリフォニーと宗教歌曲(その2)

アルベルトゥス師作のコンドゥクトゥス 「カリクスティヌス写本」の中に「パリのアルベルトゥス師の作」と記された「ともに喜べ、カトリック信者たちよ(Congaudent catholici)」という曲があります。 この曲には3つの旋律が記されているのですが、3つ全部…

中世盛期のポリフォニーと宗教歌曲(その1)

ウィンチェスターのトロープス集 楽譜として残されたオルガヌムの最初のコレクションは、南イングランドのウィンチェスター大聖堂で用いられていた2冊のトロープス集に含まれています。すべて2声部で、音の高さを明示しないネウマ譜で書かれています。これ…