数学史 092 ◆ラビ、ベン・エズラ◆


 ◆ラビ、ベン・エズラ

 この時期の第二の偉大なヘブライの学者は、アブラハム・ベン・エズラ(Abraham ben Ezra)でした。彼は、数の理論、暦学、魔方陣天文学、そしてアストロラーベについて著述しました。カバラに非常に関心があって、当時の最も学識のあるユダヤ人として正当に評価されています。彼は広く旅し、少なくとも東はエジプトまで、北はロンドンまで(1158年)行っています。天文学、暦学とその近隣のテーマに関する貢献に加えて、彼は数について3,4の著作を書いています。

 (1) セフェル・ハ・エチャド(Sefer ha-Echad);
 (2) セフェル・ハ・ミスパル(Sefer ha-Mispar)、主に算術について;
 (3) Liber augmenti et diminutionis vocatus numeratio divinationis, これはラテン語の翻訳だけで知られており、恐らく彼によるものではないだろう。
 (4) タ・フブラ(Ta 'hbula)、ヨセフス問題(Josephus Problem)を含んでいて、分冊の可能性があり、恐らく彼によるものだろう。

これらの中で、セフェル・ハ・ミスパル(Sefer ha-Mispar)だけが、唯一重要です。それは、ヒンドゥーの算術に基づいているのですが、数詞としてヘブライ文字を用いており、計算法の中で0を使っています。

 ユダヤ人によっても、キリスト教徒によっても、同様に高く評価されていましたが、彼の運命は全くの幸せであったとは言えませんでした。彼は逆境との戦いの中で、次のような言葉で嘆きを漏らしています。

 Were candles my trade it would always be noon;
 Were I dealing in shrouds Death would leave us alone.
 私が蝋燭を商っているのなら、常に正午であるだろう
 遺体を包む布を商っているのなら、死に神は私たちを独りにしておくだろう